人参っていろいろあるんですね。
漢方で使われる人参には、いろいろなものがあります。
まず、ウコギ科の御種人参(朝鮮人参、高麗人参)が最も有名です。
専門家でない一般大衆の間や朝鮮人参を販売する健康食品店では、
何にでも効果のある万能薬のようにいわれていますが、
決してそうではありません。間違いです。逆に体質に合わない体質もあります。
特に熱実証の方には。それを無理やりこじつけて販売していますね。怖いね。
もちろん漢方薬も効能を見て販売するのではなく、問診、舌診、血流を見て処方を確定するのですよ。
学名のパナックス・ジンセングのパナックスには、すべてを治療する万能薬という意味がありますが、
漢方の薬能分類では補気薬です。人の体は気血水より出来ていると考えられています。
その気(生命エネルギー)を増やし、体の元気を補う。
脾胃の弱りや肺の機能の衰えなどにもよい。
体の水分を保つのにも役立ちます。
元気のある人には、長く使うと血圧上昇や浮腫をもたらすことがあります。
代表方剤は人参湯や六君子湯で、補剤では裏虚証に人参、表虚証には黄耆を使い、
表裏共に虚している場合には参耆剤として補中益気湯、十全大補湯などに応用されます。
一方、血に作用する人参として同じウコギ科の田三七人参があります。
瘀血を取り除き、血液サラサラにする活血の働きがあります。
しかし、単純な駆瘀血薬ではありません。
血液をサラサラにすると普通は、出血があると血が止まりにくくなりますが、
田三七は違います。
止血に働き、痛みも取ってくれます。
すなわち、血管を丈夫にする働きです。
この作用は内服だけではなく、外用でもこの効果を発揮します。
ベトナム戦争当時、中国軍が使っていたそうです。
出血で困る疾患として、眼底や肝臓、心臓などの内臓疾患にはこの田三七が活躍します。
その名の由来は諸説ありますが、茎が三つに分かれていて小葉が7枚のためであるとか…。
幻の秘薬といわれた中成薬の片仔癀(へんしこう)、
雲南白薬(うんなんびゃくやく)
の主薬ともいわれています。
片仔癀は田三七、牛黄、麝香、蛇胆からできており、
雲南白薬は田三七、麝香、草烏(烏頭のこと)以外中味はわかっていません。
最後に、田三七によく似た生薬として丹参があります。
植物の科名はシソ科で、瘀血をとるのが得意な生薬です。
210 処方には使われていませんが、中成薬の冠心 Ⅱ号方に配合され、
毛沢東の狭心症や心筋梗塞の治療に使うために、現代の中国が開発したものです。
冠心逐瘀丹に配合しております。
丹参の働きはこれ一味 で四物湯の働きがあるといわれていますが、
決してそこ までの力はなく、活血の働きがメインです。
これら血に 働く田三七と丹参は共に血管系に働き、血液の流れをよ
くしますが、主に田三七は静脈系、丹参は動脈系の瘀血
を取り除くのに役立ちます。
方剤としては、冠心逐瘀丹に田三七を併用していただくと、
生活習慣病で多い心筋梗塞や脳梗塞に大変効果があります。ぜひ一度お試しく
特に田三七も1等級三七人参をお勧めします。そして温活が大切ですね。
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